紫外線センサーを作ろう

〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜

Last Update: 16 Apr 2001
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お品書き

概要

雪深い新潟にもようやく春がきて、天気の良い日にお外で遊んだ後で気が付くとなんか日に焼けたような気が…。では実際に日焼けの原因である紫外線はどのくらい強くなったんだろう。
という訳で、「ひとりでできるもん!」でもおなじみの(有)秋月電子通商から発売されている「ICL7136(液晶表示)使用 デジタルUV(紫外線量)計キット(K-00068、以下紫外線キット)」を作ってみました。これはそのときの製作と実験の記録です。
 

キットについて

この「紫外線キット」は、同じく(有)秋月電子通商から発売されているICL7136CPLを使用した「ICL7136使用 液晶表示 デジタル電圧計キット(K-00025、以下DVMキット)」に、浜松ホトニクス(株)製の紫外線センサーG5842(I-00122)と抵抗2本を組み合わせたものです。
キット全景
さてまず「DVMキット」の特徴は、以下の通りです。 そしてこの「DVMキット」に追加される「紫外線キット」の特徴は、以下の通りです。 このキットを製作するにあたり、検索エンジン等を使用して参考となるWWWページを探しましたが、どうやらこのキットは「デジタル照度計キット(ルックスメータキット)(K-00029)」や「デジタルPH(ペーハー)メータキット(K-00105)」等と並んで鑑賞魚を飼育されている方々に人気の商品のようです。
 

組み立て(DVMキット部)

先に触れましたがDMV部は超小型基板を使用しているため、液晶表示部の下にICや部品があり、そのICの下にもさらにコンデンサやジャンパ線があるという3層構造になっています。またこの「DVMキット」は「デジタル温度計キット」と基板を共用しており、そのくせ部品や配線パターンは別モノとなっています。一旦組み始めたら取り付けミスを修正するのは非常に困難ですので、注意しましょう。とは言えキットに添付されているマニュアルは非常に細かく、部品の取り付け順序まで丁寧に説明されているので、よく読みながら組み立てていけば問題は無いと思われます。
ただ1点、ICL7136の下になるジャンパJ1がICソケットと干渉するようなので、注意が必要です。私はICソケットのジャンパと干渉する個所をヤスリで斜めに削り取りました。
(*)ジャンパJ1がICソケットと干渉するのは、使用したリード線をきちんと直角に曲げ、基盤に密着させることで回避できるとの情報がありました。
ICソケットとコンデンサをつけたところ 横から見ると…
さてDVMキット部ができたならば、『電圧計』としての調整をしましょう。マニュアルには調整の方法として の2種類の方法が紹介されています。今回はヒョんなことからデジタルメータを衝動買いしてしまいましたので、基準電圧を計ることで調整することにします。
ICL7136は液晶表示部の下に隠れているので、基板のハンダ面からプローブを当て、青い半固定抵抗をくるくる回して、35-36pin間が100mVになるように調整することになります。このICL7136の35/36番pinの目印に付いてマニュアルには控えめに
「かなり見にくいのですが、レジストにより1,2の印字がしてあります。」
と書かれてありますが、本当に見にくくてちょっと見では判別できません。そこでICL7136は40pinであり、幸いにもその外側に部品が配置されていないため、「外側から5番目のハンダ跡が36pin」という判断をした方が判り易いでしょう(この段階でレジストに汚れのごとく、ナニかが書かれていることに気がつくでしょう^^;)。
ハンダ面 念願の調整ができた ^^v
 

組み立て(紫外線センサー部)

紫外線センサー部の組み立てといっても、センサーそのものと電圧を取り出すための抵抗を取り付けるだけですので、すぐに終わります。センサーは不要になった抵抗やコンデンサのリード線を利用して中に浮かしましょう。私は最初にマニュアルに従って電圧を取り出す抵抗に太陽光測定用のものを選び、基板の裏面に直接ハンダ付けしました。が、これでは実際に実験した時に感度不足になることが判り、後に電源スイッチを兼ねたON-OFF-ONの3ポジションタイプの2回路3接点トグルスイッチを取り付けて、感度を調節できるようにしました。
感度固定式の場合 スイッチをつけた
なお小数点表示について、マニュアルにはオマケのように書かれてありますが、是非表示するようにしましょう。付属の抵抗で感度が切り替えられますが、どちらの設定でも小数点は右端の桁にはなりません。私も「そのうち慣れるだろう」と思っていたのですが、やはり直読できる喜びは計り知れないものがあるように思われます。
ただ感度を切り替えつつ小数点も表示しようとすると、電源スイッチを別にしない限りは3回路3接点のトグル(若しくはスライド)スイッチが必要になります。新潟市内の電気屋さんでは入手できず、はるばる秋葉原までこのスイッチを探すためだけに(ウソです)幾度か上京しましたが、大きいモノはあるものの今回のケースに適する程度に小さいものはまだ見つかりません。情報をお持ちの方はこちらまで連絡をお願いします。
 

組み立て(ケースの加工)

付属のプラスチックケースに、トグルスイッチを取り付けるための穴を空けます。
いきなりドリルで穴を空けようとすると、刃がブレてしまいますので、熱いハンダごてでちょっと印をつけると安定します。この印に3mm程度の穴を慎重に空けた後、リマーで大きくします。素材がプラスチックの場合、力を入れすぎると簡単にひび割れてしまいますから、ゆっくり作業します。穴が適当な大きさに広がったら、カッター等でバリを削り取り、スイッチを取り付けます。
ハンダごてで印をつけて… バリも取ってきれいにできた スイッチをつけてみよう
最後にDVMキットのマニュアルに従って、最下位桁の表示を安定させるためにケースに付属のアルミ箔シートを張り、アースを取って完成です。
アースをとる 完成! こんなに小型
 

使ってみよう

では実際に町に繰り出して、色々な紫外線量を測ってみましょう。
ある日の9時頃の値 眼鏡で覆うと1/20に… 春の奥只見で計測
「紫外線カット」商品の実力を測ろう
巷には「紫外線カット」を謳う商品がいろいろありますが、その実力はいかがなものでしょう?
1 プラスチックケースのフタを外した 100%
2 プラスチックケースのフタをした 88%
3 ケースのフタに「SPF45 PA+++」の乳液を塗った(*) 50%
4 ケースのフタに「SPF71 PA+++」の乳液を塗った(*) 35%
5 ケースのフタの替わりにメガネのレンズをかぶせた 4%
6 ケースのフタを外して車のサイドガラス越しに置いた 40%
ケースのフタを外して車のフロントガラス越しに置いた 3.5%
("1"を100とした場合の透過率)
(*) 「SPF(Sun Protection Factor)値」は、紫外線の透過率を示す値ではありません。どちらかというと効果の持続性(時間)を表す数値です。どちらかというと「PA値」の方が紫外線の防止効果を表す表現です。3.と4.で使用した乳液は「PA値」が同じであるため、紫外線防止効果は同じです。4.の数値が3.の数値より小さいのは、4.の乳液の粘度が高かったために塗りムラがあったためのようです。
紫外線カットの乳液はあまり期待はしていませんでしたが、結構効果が得られるようです。
メガネのレンズや車のフロントガラスが95%近くもカットしていることには驚きました。私の車のカタログには(購入当時)「紫外線カットガラス」が装備されていると謳われていませんが、これが謳われている車種ではサイドガラスも紫外線防止加工してあるものと思われます(未確認)。
(*) 通常のフロントガラスは衝突の際にコナゴナに砕け散ることを防止するために2重ガラスになっていますが、ガラス間に挟まれているフィルムや接着剤が紫外線を吸収・遮断するのではないか、との情報が入ってきました。真偽をご存知の方、お知らせください
(*) 先日メガネ屋さんに行った際に、この測定で使用したメガネのレンズ(プラスチック製)を調べてもらった処、紫外線カット加工されたものであることが判明しました(道理で透過率が低い訳だ…)。
今紫外線カット加工のされていないメガネ(ガラスレンズ)を新調していますので、来春にも再測定してみましょう。
余談ですが、メガネ屋さんの店員さんによると、メガネのプラスチックレンズは60度程度の温度で変質して柔らかくなり、キズがつきやすくなるそうです。「60度」というとそのような環境はあまり考えられないかもしれませんが、夏場の車の中等はそれくらいの温度になりそうです。ちなみに私の場合は幾度かサウナ風呂に持ち込んだのが悪かったようです。管理には気をつけましょう。

一日の変移を測ろう
5月2日の新潟市内は昼過ぎまで結構良いお天気でしたが、15時前からにわかに曇って雷が鳴り出し、15時過ぎには雨が降っていたのに、その30分後にはもう止んでお天道様が顔を出したにも関わらず、17時には厚い雲に覆われてしまうというおかしな天気でした。とりあえずそんな日の紫外線量を、30分間隔で測ってみました。
曇ったり、雨が降ったりしていましたが、まったく紫外線が届かなくなるということは無く、若干弱くなる程度と考えたほうが良さそうです。
時刻 7時 8時 9時 10時 11時 12時 13時 14時 15時 16時 17時
00分 1.97 2.72 3.32 3.99 4.10 3.78 3.16 2.10 1.79 0.29
30分 1.50 2.37 2.76 3.14 4.01 3.93 3.58 2.81 2.09 1.04 0.02
(単位:mW/cm2)
1日の変移('00/05/02)

1年の変移を測ろう
一年を通しての変化を測ってみました。目安として月始めの割りあい天気の良い日の12時頃に計測することにします。
(と企画はしておりますが、果たして続くものかどうか…)
1月 2月
(5日)
3月 4月
(16日)
5月
(2日)
6月
(3日)
7月
(9日)
8月
(7日)
9月
(4日)
10月
(5日)
11月
(3日)
12月
(18日)
  2.85 4.07 4.10 4.60 4.76 4.66 4.46 4.06 3.76 (1.55)
(単位:mW/cm2)
冬期のため「12月」はお天道様を拝める日がほとんどありません。とは言え『記録なし』ではあまりにも寂しい…。ということで多少雲もありましたが、18日に計測を行いました。まあ新潟という土地で浴びる紫外線量ということであれば、その季節々の標準的なお天気ということで、問題はないかと思います…

色んな場所で測ってみよう>
町に出かけて紫外線の発生源の実力を測ってみました。
春のスキー場 5.02 5月5日に奥只見丸山スキー場で計測しました。
麓では4.20(11:30頃)でしたが、その1時間後の雪上では5.00を超えていました。四方からの反射があるため、直射の2〜4割増にもなるようです。
夏の海水浴場 しまった、時期を逸してしまった…
蛍光灯(36W) 0.030 会社の蛍光灯(ナショナル・パルック)から3cm程度離して計測しました。微弱ながら白色・昼光色共に同じ程度放射しているようです。
トイレにある滅菌装置 計測可能波長より短いため、計測不能(?)
ブラックライト DIY屋さんで物色しましたが、光らせているところはありませんでした。ちょっと遊びで買うにも結構なお値段がするようですし…。観賞魚を販売しているペットショップ辺りにあるのでしょうか?
日焼けサロン 新潟近郊のステキなサロンを紹介してください
オゾンホール どなたか旅費を…
 

参考

 

リンク

 

更新履歴

26Apr2000 とりあえず公開。
2May2000 念願だった基準電圧の校正をしました。
「一日の変移を測ろう」と「蛍光灯」の実力を追加しました。
7May2000 「春のスキー場」の実力を追加しました。
22May2000 「車のサイドガラス」の実力を追加しました。
3Jun2000 ICソケットに干渉するJ1ジャンパについて情報を追加しました。
小数点表示についての記述を追加しました。
10Jul2000 「車のフロントガラス」について情報を追加しました。
25Dec2000 「メガネ」についての補足を追加しました。
16Apr2001 「1年の変移を測ろう」に4月の測定値を追加しました。
ちなみに3月は晴れ間の見えた日もありましたが、ことごとく出張と重なって測定することができませんでした。ごめんなさい。
 
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